タイにおける失業率の実態は?
前回のブログでは、20年9月におけるタイの失業率が2.1%とお伝えしました。
しかしながら、失業率の計算には、実態の反映に乏しい自営業者・家族従業者が分母に含まれているとお伝えしました。
このような背景からタイの失業率の実態を把握するためには、正規社員の数を見ていく必要があります。
正規社員とは、社会保険に加入している被雇用者となります。こちらの数字は、社会保険への加入ベースで数えていることから、信頼できます。
※正規社員の定義
・社会保険を支払ってる企業で働いている会社員
・ホワイトカラー・エンジニア・マネージャー・日本人被雇用者、社会保険を払っている工場労働者・契約社員
・2019年の時点で正規社員は、1,169万人いる
正規社員の雇用者数の推移
正規社員数の推移を見ていきますと、基本的には、右肩上がりで伸びてきておりました。
しかしながら、コロナショックによって、ピークの20年3月1,173万人から9月時点では、
1,109万人となっており、64万人(5.8%)の雇用が減少しております。
そして、現在も雇用者数が減少中となっております。
正規社員の失業者数の推移
一方、正規社員の失業者数(失業保険申請者数)の推移を見ていきますと上記のグラフのようになっております。
正規社員の減少に合わせて、失業者数が過去最高水準で増えており、現在も増加中となります。
青い部分が解雇による失業者数の推移、オレンジの部分が自発的・または契約終了による失業者数の推移となりますが、
特徴的なところとしては、直近の失業者は解雇による失業が大半を占めていることになります。
正規社員の失業率が急上昇中!!
正規社員の失業率の推移
上記でお伝えした正規社員数を分母、正規社員の失業者数を分子として、失業率を算出するとタイにおける失業率の実態が分かります。
こちらによるとコロナにおける非常事態宣言があった3月以降に急上昇しております。
9月が4.2%となっており、現在も上昇が続いております。
前回のブログでお伝えしたとおり、タイ政府が公式発表している失業率は、分母に自営業者・家族従業者が多く含まれており、失業率の実態の反映に乏しいです。
一方、信頼できる数字である正規社員数の分母と分子で失業率を算出すると、実態が反映され、我々の肌感覚の数字に近いのではないでしょうか。